DCSS

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DCSSでコーディングをすることの利点

コーディングとは、調査対象者の回答に数字や記号などのコードを割り振る作業のことを言います。コーディングをする時は、参考資料や諸変数の値を参照しながら作業をする必要があります。DCSSを利用すれば、参考資料や諸変数の値をより簡単に閲覧、検索、表示することができます。

DCSSでは、コーディングに必要な参考資料をプロジェクトの中に保存して管理します。なので、参照したい参考資料をすぐに開いて閲覧することができます。参照したい項目を検索するのも簡単です。

DCSSを利用すれば、現在編集中の変数とは別に、参照したい変数を別のテーブルで自由にレイアウトして表示することができます。

以下では、DCSSを利用して参考資料や諸変数の値を閲覧、検索、表示する方法について説明します。

DCSSを利用すれば、参考資料や諸変数の値を簡単に参照できる


DCSS練習用の架空の資料

DCSSを練習するために架空の調査票、コード表、データを用意しました。これからはこれらの資料を用いて説明をします。

ダウンロード:

DCSS練習用架空調査票.pdf

DCSS練習用架空コード表.xlsx

DCSS練習用架空データ(Windows).csv

DCSS練習用架空変数ラベル(Windows).csv

DCSS練習用架空データ(macOS).csv

DCSS練習用架空変数ラベル(macOS).csv


* 文字コードの問題で、Windows用とmacOS用のCSVファイルが別々になっています。

基本的に、WindowsでCSVファイルを作って WindowsでDCSSを利用する時や、macOSでCSVファイルを作って macOSでDCSSを利用する時に、文字コードを気にする必要はありません。

ただし、macOS 用のエクセルでCSVファイルを 作った場合、DCSSのプロジェクトが上手く作れない場合があります。そういう時は、エクセルを利用しないで、テキストエディタ、またはNumbersなどの表計算ソフトを利用してCSVファイルを作ってみてください。

DCSS練習用架空調査票.pdf


参考資料は「XML形式」のファイルで用意する

まず、DCSSを利用して参考資料を閲覧、検索する方法について説明します。

DCSSに読み込ませる参考資料は、「XML形式」のファイルで用意します。XML形式の説明は少し複雑ですので、XML形式の全般的な説明は省略します。ここではエクセルを使ってXML形式の参考資料を作る方法について説明します。WindowsもmacOSも作り方は同じです。

XML

Extensible Markup Language

参考資料はCSVファイルではなく、XMLファイルで用意する

まず、エクセルで参考資料を作ります。エクセルで参考資料を作りますので、参考資料は行列の形をすることになります。

行列の先頭行は「列の見出し」を表すようにします。列の総数は 10 を超えないようにします。DCSSではエクセルのシート名が参考資料の名前になりますので、シート名のところに参考資料の名前を入力します。

行列の中身は自由に構成することができます。セルの中で改行をすることもできます。セルの中での文字数の制限や使えない文字などの制限はありません。例えば、次のファイルのように参考資料を作ることができます。

ダウンロード:日本標準産業分類(平成25年10月改定).xlsx

エクセルで参考資料を作る(先頭行は列の見出しを表す、列の総数は 10 以下、シート名に参考資料の名前を入力する)

エクセルのメニューから、[ファイル]→[名前を付けて保存]をクリックします。

「名前を付けて保存ウィンドウ」が開いたら、下の方にある「ファイルの種類(macOS版では「ファイル形式」)」ボックスの一覧から、「XML スプレッドシート」* と書かれた形式を選択します。

後は、ファイルの名前を入力し、保存する場所(フォルダー)を指定してファイルを保存します。

ダウンロード:日本標準産業分類(平成25年10月改定).xml


* OSやエクセルのバージョンによって、「XML スプレッドシート 2003 (*.xml)」や「Excel 2004 XML スプレッドシート (.xml)」などと正確な名称は異なります。

「XML スプレッドシート」と書かれた形式を選択しで保存する


練習用のプロジェクトを作る

それでは、練習用のプロジェクトを作ります。

先ほどダウンロードした「DCSS練習用の架空の資料」を利用して、次のような練習用のプロジェクトを作ります。

ダウンロード:

DCSS練習用架空プロジェクト.xml(このファイルには、あらかじめMain Tableに変数がレイアウトされています)

練習用のプロジェクトを作る


Referenceタブの画面構成

参考資料の読み込みは、Referenceタブで行います。プロジェクトを開いて、Referenceタブに移動します。

Referenceタブの中央には「Text Area」「Reference Table」「Page Navigation」、右側には「Import Buttons」があります。

画面中央にあるReference Tableは、DCSSが読み込んだ参考資料を表示する部分です。DCSSは、Reference Tableを 10 個まで保存できます。10 個のReference Tableは、画面下部にあるPage Navigationで一つずつ「めくる」ことができます。画面上部のText Areaは、Reference Tableのセルの中身を表示する部分です。

Referenceタブの画面構成

参考資料を読み込む

参考資料を読み込む操作は、画面右側のImport Buttonsで行います。「Import」ボタンを押します。

ファイル選択のウィンドウが開いたら、読み込みたい参考資料を選択して開きます。ここでは、先ほど作った日本標準産業分類(平成25年10月改定).xmlを選択します。

「Import」ボタンを押して、読み込みたい参考資料を選択する

Reference Tableの「1番目のページ」に参考資料が読み込まれました。Reference Tableのセルを適当にクリックしてみて、セルの内容がText Areaに表示されることを確認してください。(改行の部分がText Areaに反映されない場合があります。そういう時は、一旦プロジェクトを保存して、保存したプロジェクトをもう一度開き直してください)

「1番目のページ」に参考資料が読み込まれた

続けて参考資料を読み込みたいときは、Page Navigationで空の状態のページに移動して参考資料を読み込みます。

複数の参考資料を読み込む場合、Page Navigationでページを移動する

読み込んだ参考資料を削除したい時は、削除したい参考資料のページを開いた状態で画面右側の「Clear」ボタンを押します。

参考資料を削除したい場合は、「Clear」ボタンで削除する


Editタブで参考資料を閲覧する

Referenceタブで読み込んだ参考資料は、Editタブで閲覧することができます。同じ画面でデータの編集と参考資料の参照ができるので便利です。

Editタブの画面右下に「Reference」ボタンがあります。Referenceボタンを押すと、画面右側に「Reference Pane」が表示されます。

「Reference」ボタンを押して「Reference Pane」を開く

Reference Paneの真ん中あたりに、参考資料を選択するチョイスボックスがあります。チョイスボックスから、先ほど読み込んだ「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」を選択します。

すると、チョイスボックスの下にあるReference Tableに「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」が表示されます。

チョイスボックスから参考資料を選択する

Editタブで参考資料の内容を検索する

チョイスボックスの右側に「Filter」と書かれた欄があります。そこに検索ワードを入力してReference Tableを検索することができます。

この機能は、検索ワードが含まれたセルの行だけを表示させて、それ以外の行は隠す機能で、正しい呼び方は「フィルタリング」です。フィルタリングは検索に比べて、必要な情報だけに集中できるという利点があります。呼び方も果たす役割も異なりますが、ここでは理解のためにフィルタリングも「検索」と呼ぶことにします。

検索ワードを入力してReference Tableを検索する


参考資料を参照しながらコーディングをやってみる

DCSS練習用架空プロジェクトを使って実際にコーディングをやってみましょう。参考資料として日本標準産業分類(平成25年10月改定).xmlを読み込んでください。

Editタブで、ケースID「421」を選択します。

Main TableのAddress「G7」の変数「現職:従業先の事業(内容)」の値が「建材販売」となっています。では、日本標準産業分類で「建材販売」は、小分類コード何番に分類されているかを調べます。

Reference Paneを開いて、チョイスボックスから「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」を選択します。Filter欄に「建材」と検索ワードを入力します。

大分類コード「E」の項目名「板紙製造業」の分類と、大分類コード「I」の項目名「建築材料小売業」の分類がヒットしました。

「説明及び内容例示」列のセルから、板紙製造業と建築材料小売業の説明を確認します。板紙製造業は「主として木材パルプ,古紙及びその他の繊維から板紙を製造する事業所をいう。」となっていて、建築材料小売業は「主として木材,セメント,板ガラスなどの建築材料を小売する事業所をいう。」となっています。

ケースID「421」の従業先の事業として適切なのは、大分類コード「I」の項目名「建築材料小売業」であると判断できます。建築材料小売業の小分類コードは「609」なので、Address「G12」の変数に「609」と入力します。


日本標準産業分類と日本標準職業分類

DCSSによるコーディング作業に使えるように、日本標準職業分類を編集してXMLファイルにしました。日本標準産業分類と一緒に使ってください。

ダウンロード:

日本標準産業分類(平成25年10月改定).xml

日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定).xml


回答者の回答を参照する必要性

コーディングをする時、参考資料の他に、回答者の回答を参照しなければいならない場合があります。

例えば、仕事の内容を「事務」と回答した場合、それを一般事務従事者と判断するのか、公務員と判断するのか、ビル管理人と判断するのか、それとも会社管理職員と判断するのかは、「事務」という回答だけでは判断が難しいです。そういう時は、回答者の回答を全体的に見渡して総合的に判断しなければなりません。

DCSSでは、Editタブの「Sub Table」機能を利用して諸変数の値を自由にレイアウトして参照することができます。以下では、Sub Tableを利用して諸変数の値を参照する方法について説明します。

仕事の内容が

「事務」

の場合、コーディングは

一般事務従事者?

公務員?

ビル管理人?

会社管理職員?

・・・?

コーディングでは回答者の全体的な回答を参照する必要がある


Sub Tableのレイアウトをする

Editタブの「Sub Table」機能を利用するためには、Main Tableの時と同じく、まず変数をレイアウトをする必要があります。Sub Tableのレイアウトは、Main Tableと同じく、Layoutタブで行います。

Layoutタブに移動してSub Tableのレイアウトをします。Sub Tableのレイアウトの仕方は、Main Tableのレイアウトの仕方と同じです。

LayoutタブでSub Tableのレイアウトをする

画面右上に「Sub Table」があります。

まず、空の状態になっているSub Tableに列と行を追加してテーブルを生成します。

そして、画面左側にある「Variable List」から変数を選び、テーブルにドラッグ・アンド・ドロップして変数をレイアウトします。

変数名をドラッグ・アンド・ドロップして変数をレイアウトする


EditタブでSub Tableを開く

Sub Tableのレイアウトが終わったら、Editタブに移動します。

Editタブの画面下部に「Sub Table」ボタンがあります。

「Sub Table」ボタンを押すと、画面上部にSub Tableが表示されます。

「Sub Table」ボタンを押してSub Tableを表示する


Sub Tableを参照しながらコーディングをやってみる

DCSS練習用架空プロジェクトを使って実際にコーディングをやってみましょう。ここでは、調査対象者の現職の職業をコーディングしてみます。

Sub Tableに職業コーディング作業に必要と思われる変数をレイアウトします。例えば、次のファイルのようにレイアウトします。

ダウンロード:

DCSS練習用架空プロジェクト(参考資料とSub Table編集済み).xml

Sub Tableに参照したい変数をレイアウトする

例えば、職業コーディングではこういう風に変数をレイアウトする

A列

調査対象者関連情報

B列

配偶者関連情報

C列

世帯関連情報

B列

子供関連情報

Editタブに移動して、ケースID「944」を選択します。

Main Tableの「G列」に調査対象者の現職関連変数がレイアウトされています。現職関連変数の値を見ると、次のようになっています。

Editタブに移動して、ケースID「944」を選択する

Address|変数ラベル|生値(値ラベル)


G1|現職有無|1(仕事をしている)

G7|現職:従業先の事業(内容)|雑貨店

G8|現職:従業先での仕事(内容)|雑貨を売る

G9|現職:役職その他(内容)|

G11|現職:従業上の地位|5(自営業者・自由業者)

G14|現職:従業員数|2(2〜4人)

G15|現職:役職|1(役職なし)

G17|現職:1日労働時間|2

G18|現職:週労働日数|2


つまり、ケースID「944」の調査対象者は、小規模(2〜4人)の自営業で「雑貨店」を営んでいると読むことができます。

自営業で「雑貨店」を営んでいる場合、職業を「小売店主・店長」と考えることができます。「小売店主・店長」の職業分類は、日本標準職業分類によると小分類コード「321」に分類されます。なので、このケースの現職職業は「321」にコーディングすることができます。

しかし、気になるのは、1日労働時間が「2」時間、週労働日数が「2」日と短い点です。この調査対象者の現職職業を「小売店主・店長」と見なしても大丈夫でしょうか。G列以外の情報も見たくなります。

そこでSub Tableを開いて他の変数の値を参照します。

Main Tableの「G列」に、現職関連変数がレイアウトされている

Sub Tableにレイアウトした諸変数の値は、このようになっています。重要だと思われる変数の値を整理すると、次のようになります。


Address|変数ラベル|生値(値ラベル)

A1|調査対象者性別|2(女性)

A4|調査対象者満年齢|32

A6|調査対象者過去1年収入|1(なし)

A15|平日家事時間:時間|7

A17|休日家事時間:時間|7

B1|配偶者満年齢|38

B6|配偶者過去1年収入|11(350〜400万円未満)

B9|配偶者現職:従業先の事業(内容)|雑貨店

B10|配偶者現職:従業先での仕事(内容)|雑貨を売る

B11|配偶者現職:役職その他(内容)|店主

B12|配偶者現職:従業上の地位|5(自営業者・自由業者)

B15|配偶者現職:従業員数|2(2〜4人)

B16|配偶者現職:役職|1(役職なし)

C4|同居人数|3

C6|世帯過去1年収入|11(300〜350万円未満)

C9|同居人続柄:結婚していない息子|1(選択)

D2|第1子生年:元号|2(平成)

D3|第1子生年:年|26

D4|第1子同別居|1(同居)

Sub Tableにレイアウトされた諸変数の値から考えると、ケースID「944」の調査対象者は、

自営業で雑貨店を営む夫と、4歳(平成26年生まれの2018年年齢)の息子との3人家族です。調査対象者の過去1年収入はなく、夫の収入350〜400万円が世帯収入になっています。

夫の役職が「店主」となっているので、どうやら雑貨店を営んでいるのは調査対象者の夫で、調査対象者はその仕事を手伝っているように見えます。調査対象者の労働時間が短く、代わりに平日と休日の家事時間が7時間であることも根拠になります。

以上から、調査対象者は「小売店主・店長」として働いているのではなく、「家族従業者」として働いていると判断することができます。

家族従業者の場合、それを有職と見なすか無職と見なすかの問題があります。「家族従業者」について日本標準職業分類一般原則では、次のように決めています。

自分が属する世帯の家業に従事している家族従業者が行う仕事は、報酬を受けているかどうかにかかわらず、一定時間(例えば、一日平均2時間、あるいは通常の就業者の就業時間の3分の1以上の時間等)当該仕事に従事している場合には、その仕事を職業とみなす。

なので、ケースID「944」の調査対象者の場合、有職と見なしても大丈夫そうです。

職業のコーディングについては、日本標準職業分類では「使用人(家族従業者を含む)として、店舗で商品の販売の仕事に従事するもの」を「販売店員」として分類しているので、調査対象者の現職職業は「販売店員」の小分類コード「323」にコーディングします。

それから、調査対象者の回答では従業上の地位が「5(自営業者・自由業者)」になっていますが、それを「6(家族従業者)」に修正します。

ケースID「944」の職業コーディングの結果